私はこう世界を見ている。
すべては断片としてしか現れない。
記憶、夢、他者の内面——
完全には見えないものの気配が、光と空間の中に漂っている。
たとえば女性と向き合うとき、私が見ているのは美しさではない。
孤独で不安定で、無力で、それでもそこに存在している——
その「状態」だ。
古びた家具、窓からの光、誰かがいた痕跡の残る空間。
そこに、出来事の前と後が滲む。
街に立つとき、私が見ているのは風景ではない。
そこで生き延びている人間と動物の、
力と絶望と希望——
それもまた、その場所の時間と記憶の中にある断片だ。
色が満ちている瞬間と、色を剥いだときにしか見えない光と影がある。
大きなセットも強い照明もいらない。
そこにある光を見つけ、存在に手を伸ばしている。
記憶が、時間が、滲み出てしまう——
私はそれらを掬うだけ。